車検でメンテナンスをおすすめする理由を解説

ディーラーや車検工場で車検を受けると、車の状態を見てもらったうえで消耗部品や劣化のある箇所のメンテナンスをお勧めされます。車検の基準に収まる範囲であれば、整備内容はお客様のご意向で選択することが出来ます。

車検は24ヶ月の法定点検と保安基準に適合しているかどうかを判断する検査です。点検時に簡単な調整や給油(グリスなど補充)、清掃などです。実際に消耗している部品を交換したり、オイルや冷却水を入れ替えたりする作業は追加整備メニューとなります。

昔の車検は整備工場にお任せのケースが多く、どの車も一律にいろいろな消耗部品や整備を実施していました。ブレーキフルードや冷却水、エアーエレメントなど多くの部品を交換するのが当たり前でした。また下回りスチーム洗浄やパスター塗装なども付いているケースが多かったですね。

近年では車検の基本料金と整備メニューは分けて提案するのが一般的です。陸運局も一般ユーザーを守るため、見積書の提示を車検工場に徹底して指導しています。ですから昔のように車検が終わってから総額を見てビックリするということはなくなりました。

工場側もあまり強く勧めると「押し売り」「強引」という印象をユーザーに与えるため気をつけています。整備士は丁寧に説明するように心がけていますが、車の持ち主であるお客様ご自身で整備の判断をする必要もあります。

前置きが長くなってしまいましたが、本記事では車検時のメンテナンスに関して代表的な部品を取り上げ、整備をおすすめする理由を解説していきます。

一台の車に長く乗る時代ですから、車のメンテナンスについて知識がある方がいいですね。

ワイパーラバー

車検時メンテナンスおすすめ度 高

ワイパーラバーの交換時期は、雨天時の水はけが悪くなったと感じる時に交換しておくのが一番です。でも普段は交換に行く暇がない方やそのためだけに整備工場に行くのが面倒という方は車検時に交換すると決めておくのもありです。車のゴム部品の中でも消耗が早いですからいつ交換するか決めておくと楽ですね。ただし冬のフロントガラスが凍結している際に無理に動かしたりすると損傷するので注意が必要です。凍結するシーズンはオートワイパーをオフしておくこともおすすめです。

タイヤ

車検時メンテナンスおすすめ度 中

タイヤは消耗部品の中でも高額です。スリップサインが出ているような状態では交換が必要ですが、その他の場合はお客様の判断に委ねられます。走行距離が多めの方は、車検時はローテーションを行い、タイヤの消耗に合わせて交換することをお勧めします。そうすることで出費が節約できますね。

一方、走行距離が少ない方は、残り溝以外にも注意が必要です。新車から5年目の車検時もタイヤ交換せず、7年間新車装着のタイヤを履き続けているとひび割れや空気圧不足による肩減りなどが増してきます。新車を購入して10年乗るとしても、最低1回はタイヤ交換をする必要があります。劣化したタイヤで無理に乗るより5年目当りで交換することも考えたいですね。

エンジンオイル・オイルエレメント

車検時メンテナンスおすすめ度 中

車のメンテナンスの基本でありとても重要です。車検時だからと言わず走行距離が3,000km~5,000km又は6か月に一度交換をおすすめしています。ですから車検時に丁度オイル交換時期に来ている方以外は車検時にする必要はないです。基本的に普段のメンテナンスのタイミングで実施して頂ければいいと思います。

ただし、エンジンオイルの状態が悪い方の場合は交換時期に関わらずおすすめする場合もあります。オイルの劣化、漏れ、減りなどの状況で判断します。オイル漏れなど修理時はオイルパンやエンジンのヘッドカバーを脱着するためオイル交換も行います。

ブレーキフルード

車検時メンテナンスおすすめ度 高

ブレーキの不具合などで修理することがなければ、車検時に作業する整備メニューとなります。多くの整備工場やディーラーで車検時に交換をおすすめしています。車検の都度交換するのが一番いいですが、劣化の具合を見て判断となります。ブレーキは分解点検する部分ですから、のホイールシリンダーなどからフルードが漏れていると整備は必須です。ホイールシリンダーのカップキットと呼ばれるシール材交換をする際は、ブレーキフルードの交換も同時に行います。

AT・CVTフルード

車検時メンテナンスおすすめ度 中

近年はCVTの変速機を搭載した車が多いです。AT車の場合は30,000km~40,000kmあたりで交換おすすめされていましたが、CVTの場合はメーカーや車種によって交換時期が異なります。車種によっては基本的に無交換又はシビアコンディションで10万kmで交換となっている場合もあります。

ただし、劣化がひどい車の場合は交換することで不具合が出る可能性もありますから注意が必要です。特にAT車はソレノイドバルブの動きで変速をコントロールしていますから、交換を断る場合もあります。

メーカーが交換しなくていいといっても、オイルですから経年劣化は避けられません。CVTフルードを交換することでスムーズな変速や燃費改善など良い影響があります。交換するなら劣化がひどくなる前に交換したいです。

冷却水(ロングライフクーラント)

車検時メンテナンスおすすめ度 中

新車時に充填されているクーラントの種類によってメンテナンス時期は変ります。最近の新車にはスーパーLLCという性能が高く高寿命のクーラントが充填されています。こうした新型車と従来のクーラントが入った車では交換サイクルがことなります。

従来の車であれば車検ごとに交換をおすすめします。また年数が経った車では、ラジエーターからの水漏れやラジエーターホースやヒーターホースのジョイントから水漏れが発生している場合もあります。こうした冷却水漏れの修理がある場合は、LLCも同時に交換します。

スパークプラグ

車検時メンテナンスおすすめ度 中

スパークプラグはエンジンの燃焼において点火をする役割があります。スパークプラグはメーカー指定に対応したものを取り付けるのが基本です。指定の中でも一般プラグやイリジウムプラグなど選ぶことが出来ます。寿命は種類により異なりますから交換時期は車によって異なります。

点火系の不具合原因はスパークプラグの消耗以外にもイグニッションコイルが原因の場合もあります。スパークプラグで放電を発生させるためには高電圧が必要です。スパークプラグほど交換頻度は高くありませんが、年数を重ね走行距離が伸びてくると交換の必要があります。

エアーエレメント

車検時メンテナンスおすすめ度 高

エアーエレメントはエンジンが吸い込む空気の入り口の前に取り付けられています。エンジン内部にチリや埃が入らないようにする役割があります。基本的に洗浄や清掃ができませんから定期交換が必要です。一般的に車検ごとの交換をおすすめしています。

近年の車はエンジンの燃焼室に吸入する空気流量を電子的に電子制御しています。エンジンコンピューターはエアーエレメントの汚れも学習し、常に最適な燃焼環境を作り上げています。交換作業自体は難しくないので自分でされる方もありますが、最近の車は交換作業後、コンピューターの学習リセットなどの作業が必要になることもあるので注意が必要です。

ファン・パワステ・クーラーベルト

車検時メンテナンスおすすめ度 中

ファンベルトはオルタネーターやウォーターポンプを駆動する役割があります。クーラーベルトはエアコンコンプレッサーに動力を伝達します。パワステベルトはパワステポンプを駆動させます。Vベルトの交換時期は一般的に走行50,000km程度です。車検時にはヒビや亀裂などで機能性に問題が無い限り交換しなくても適合になります。ヒビなど消耗している場合は交換をおすすめします。

オイルや冷却水などと違い、ベルトは切れてしまうと故障に直結します。そういうこともあり多くの整備工場で念入りに点検して交換をおすすめしています。

ブレーキパッド

車検時メンテナンスおすすめ度 中

ブレーキパッドは走行距離によって交換時期を把握できるうえ、ホイールの位置を工夫すると外から残量を確認できます。日常点検やオイル交換をしている方は、残量が減ってきたら交換すればいいでしょう。車検時以外はメンテナンスは最小限にしている方なら車検時に早めに交換する方もお見えです。

最近の低燃費化によりハイブリッドカーなどは減速時にドライバーがブレーキペダルを踏むと動力モーターが発電モーターに切り替わります。車輪の回転がモーターに伝達されモーターを駆動させバッテリーに蓄電します。この際にモーターに発生する抵抗で車を減速させています。回生ブレーキと呼ばれる仕組みです。この機能のおかげで燃費改善と共にブレーキパッドの消耗量が減少しています。旧来の車よりハイブリッドカーは交換サイクルが長いですね。

バッテリー

車検時メンテナンスおすすめ度 中

バッテリーは自動車の使用環境にも左右され、オイルの汚れやブレーキパッドの減少のように目視で確認しにくい部品です。車検など点検時にバッテリーの充電状態を専用のテスターで測定して判断します。ただしテスターの測定で「OK」がでたら絶対大丈夫ということでもないため3~5年で交換をおすすめしています。

バッテリーの種類も増え、エコカーになり高性能のバッテリーを取り付ける必要があります。充電制御され、アイドリングストップ機能が付いた車両ではコンピューターの調整、学習といった作業が必要になります。自分で交換するのは控えたほうがいいですね。バッテリー上がりはJAFの出動件数で一番多いですから、エンジン始動時やヘッドライト点灯時などに症状を感じたら早めに交換しておきたいですね。

ランプ球

車検時メンテナンスおすすめ度 小

ヘッドライト、ブレーキランプ、ウインカーランプなどさまざまなランプ球があります。これらランプ球は切れていたら交換するのが基本です。車検時に球が切れていないのに交換をおすすめするケースは稀です。ですから、車検を受けた翌日にブレーキランプ球が切れるということもありえます。ランプ球の切れは日常点検を意識しておきたいですが、なかなか自分では気づきにくい部分です。オイル交換やタイヤ交換など車検に関わらず整備士なら常にランプ球の点灯状態を互いに意識して見ています。

タイミングベルト

車検時メンテナンスおすすめ度 小

国産車のタイミングベルト交換時期は10万kmが一般的です。タイミングベルトはカバーで隠れているため点検口が無い車両の場合は走行距離が交換のサインとなります。万が一タイミングベルトが切れるとエンジンに重大な損傷が生じるため車検時に9万kmを超えてきたら交換おすすめするという整備工場が多いです。

輸入車の場合はタイミングベルトの交換時期は様々ですから注意が必要です。

ブレーキホース

車検時メンテナンスおすすめ度 小

ブレーキホースはひび割れや損傷などが確認されれば交換が必要です。事故などで損傷した場合などを除き、基本的に4本同時に交換したいです。走行距離の目安は10万km程度ですが、走行が少ない車の場合はその限りではありません。目視点検が重要になります。

キーフリーの電池

車検時メンテナンスおすすめ度 小

近年の車はかなりの割合でキーフリーシステムが導入されています。以前のボタン操作で開錠をするキーに比べ電池の消耗スピードが早いです。車によってはメーターなどでキーレス電池の消耗をアナウンスしてくれます。ボタンスタートでエンジンが掛からない原因になります。エンジン始動時やドア開錠時に違和感を感じたら交換時期が近いサインです。車検に限らず交換することをおすすめします。

まとめ

自動車は世の中にある製品の中でも使用環境がシビアです。重量が1トンを超える車両が時速100kmで走行していますし、季節を問わず自然環境の猛威にさらされ続けています。大きな修理や故障の頻度を減らすためにも車検を良い機会としてご利用いただければと思います。

ウッドベルでは車検だけでなく、さまざまな車の修理に対応しています。お車のメンテナンスでもご利用ください。